リニア中央新幹線って?

リニア中央新幹線は、超電導磁石を使った技術により時速505kmで浮上走行する超高速鉄道で,東京と大阪(約438km)を約1時間(現在の新幹線の2倍のスピード)で結びます。
リニア中央新幹線の整備は2段階で行われます。東京‐名古屋間が令和9年(2027年)に、名古屋‐大阪間が、そこから更に18年後の令和27年(2045年)に開業する予定(※)で、東海道新幹線に代わる、日本の新しい国土軸(交通の大動脈)となります。
しかし、現在は、京都を通らないルートで計画されています。
(※)名古屋‐大阪間の開業時期については,最大で8年間前倒し(実現すれば,令和19年(2037年)開業)する方向で、現在、国とJR東海において調整が進められています。

リニア中央新幹線は、東京と大阪を約1時間で結びます。

3つの主張

新幹線を含む高速鉄道網は、都市間の交流や交易を拡大させ、経済活動だけでなく、国民生活の向上を支える大切な基盤です。
京都はもとより、国土の均衡ある発展にとって極めて重要なプロジェクトです。
そこで、当協議会では、リニア中央新幹線が、日本の未来を切り拓いていくために、我が国にとって最適な内容で整備される必要があると考えており、国家政策として整備を推進し、その効果を最大限に発揮させるため、次の3点を主張しています。

  • 1東京‐大阪間の早期開業

    現行計画では、東京‐名古屋間が令和9年(2027年)に先行開業し、名古屋‐大阪間の開業時期については、最大で8年間前倒し(実現すれば,令和19年(2037年)開業)する方向で進められています。しかし、それでも10年程度は遅れてしまいます。名古屋‐大阪間の開業が遅れてしまうと、その間に東京一極集中が加速し、近畿・西日本の経済の地盤沈下が懸念されています。近畿圏の発展とリニア整備効果の最大化のためには、大阪までの全線同時開業を基本的なスタンスとして、早期開業に向けた取組を推進することが必要です。

  • 2関西国際空港への延伸

    日本で唯一の完全24時間空港である関空までリニアを延伸すれば、首都圏~京都~関空が75分で繋がります。このことは、我が国の産業、学問、文化、観光の振興に寄与し、「文化芸術立国・日本」、「観光立国・日本」の実現に向けて大きな推進力になります。

  • 3京都ルートの実現

    今の計画では、リニア中央新幹線は、京都を通りません。日本文化の発信拠点として、世界中の人が訪れる京都を通らないことは、大きな損失です。

「リニア中央新幹線のルートについて」

リニア中央新幹線の現行ルートは、昭和48年11月に国の「基本計画」で決定されました。それは、リニアではなく、時速250kmの新幹線を前提とした、東海道新幹線の老朽化等に備えた代替ルート、「第二東海道新幹線」として決定されたものでした。
その後、リニアを導入することになり、整備の位置づけはもとより、輸送需要量や経済効果等に大きな影響があるにもかかわらず、ルートの検証が行われないまま、平成23年5月に「整備計画」が決定されました。今、改めて、法の趣旨に基づいたルートの検証が必要です。
※経緯については、「これまでの経緯」を御参照ください。

全国新幹線鉄道整備法

全国新幹線鉄道整備法(施行令)では、需要の動向や経済効果の調査結果に基づいてルートを決定することとしています。

法第4条の趣旨

国土交通大臣は、鉄道輸送の需要の動向、国土開発の重点的な方向その他新幹線鉄道の効果的な整備を図るため必要な事項を考慮し、基本計画(ルートの主要な経過地等)を決定しなけばならない。

法施行令第2条の趣旨

基本計画を決定する場合には、
①新幹線鉄道の輸送需要量の見通し、
②所要輸送時間の短縮、輸送力の増加がもたらす経済的効果の調査の結果に基づかなければならない。
リニア中央新幹線の開業予定時期

明日の京都の高速鉄道検討委員会の提言において、経済波及効果では「京都駅ルート」が、速達性・建設費では「学研ルート(直線ルート)」が、リダンダンシーでは「奈良駅ルート」が有利との分析結果が示されています。

日本の未来のために

京都の果たす役割

京都には千年を超える悠久の歴史の中で育まれ、大切に継承されてきた心や哲学・知が蓄積しています。その奥深い魅力・京都の本質は、京都の日常生活の中にこそ息づいており、人の営みを大切にし、そして観せることが、京都の使命であると考えています。また、和食は京都の象徴であっても、昆布は北海道、かつお節は高知、また、繭は福島の川俣など、日本中の別の土地から入っています。あらゆる文化、伝統産業において、京都と全国各地がつながり、支えあっています。

「日本に京都があってよかった」~世界でも類を見ない多様性と奥深さ~

京都は伝統産業から先端産業、IPS細胞まで生み出してきた「ものづくり都市」でありますが、同時に「ものがたりづくり都市」でもあります。漆器、蒔絵、陶磁器といったものづくりである「物質文化」と、能、狂言、茶道、華道、香道など人の心に深く語りかける「ものがたり」を育んできた「精神文化」が、相互に刺激を与え、高め合い、感性、匠の技等が継承・創造されています(「ひとづくり」)。そして、それらの融合・深化による「まちづくり」が千年を超えて継続しています。21世紀の日本の発展にとって、こうした、ものづくり、学術、文化、宗教、観光振興などの要素がきわめて重要です。政治経済の中心である東京とともに、これからも京都が日本の文化首都としての指名を果たすことは、日本の未来のためと考えます。

文化庁の京都移転

平成28年3月22日、国の政府関係機関移転基本方針が発表され、文化庁が京都へ移転することが決定しました。今回の移転は、地方創生を目指した国の政府関係機関移転の議論の中で決定されたもので、国会対応、外交等の一部を除き、全面的な移転となる予定です。文化庁の京都移転は、東京一極集中の是正を目指す地方創生の突破口になるとともに、日本文化の一層の発展及び文化首都・京都の更なる飛躍が期待されます。

双京構想の実現

現役の御所があるのは、京都と東京だけです。日本の大切な皇室の弥栄(いやさか)のために、東京だけでなく京都に皇族の方にお住まいいただき、東京と京都が「双京」として並び立ってこそ、日本の未来を拓くことができると考えています。

保全と創造のまちづくり

国宝の半分程度が近畿にあり、その半分程度が京都にあります。重要文化財もほぼ同様です。京都のためでなく、日本のために京都の文化、景観や町並みを守っています。

世界における「KYОTО」ブランド

世界で最も影響力を持つ旅行雑誌の一つである、「Travel+Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」誌が、毎年夏に発表する読者投票ランキング「ワールドベストシティ」において、京都は、2016年まで5年連続でトップ10入りを果たしています(2014年、2015年は2年連続で世界1位)。京都は、2016年の読者投票ランキングでは6位となりましたのが、6つの評価ポイントの一つである「文化」についてのランキングは1位であり、世界で最も文化的魅力の高い観光都市として紹介されています。平成26年に入洛されたインドのモディ首相からも「文化や学問は京都を中心に交流したい」と御発言いただいているように、京都は世界から評価されている都市です。

けいはんな学研都市

関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)は、京都・大阪・奈良の三府県にまたがる豊かな自然・歴史・文化的環境と地理的に有利な条件に恵まれた京阪奈丘陵に立地しています。産・学・官の密接な連携のもとに文化、学術、研究、産業の新しい拠点を形成するとともに、未来を拓く知の創造都市として、魅力ある居住環境、都市環境の創造を目指すナショナルプロジェクトです。最先端の科学技術を生活に取り入れた新しいライフスタイルを生み出す都市として、健康・医療・エネルギー等の研究拠点となる「けいはんなオープンイノベーションセンター(KICK)」を核に、スマートシティの世界モデルを目指しています。ナショナルプロジェクトで開発を進めている学研都市は、これからの日本の未来を切り開く都市として期待されます。

進む交通網の整備

令和5年度全線開通を目標に整備している新名神高速道路、令和4年度末の開業を目指しているJR奈良線の高速化・複線化第2 期事業、令和3年の東京オリンピック・パラリンピック開催、令和7年の大阪・関西万博が開催などにより、人・ものの流れが飛躍的に増大することが期待されています。

お茶の京都

京都府南部の山城地域には、800年の歴史を持つお茶どころがあります。中国からお茶が日本に伝えられて以来、時々の権力者や町衆の支持を得て、栽培や製茶技術の工夫・革新を繰り返しながら、日本茶を代表する「抹茶」「煎茶」「玉露」を生み出したこの地には、磨かれた茶文化や茶畑の眩い景色が今も息づいています。まさに「日本茶のふるさと」であり、日本茶の歴史・文化を伝承する文化的景観として唯一無二の存在であり、『日本茶800年の歴史散歩』として平成27年に国の日本遺産に認定されました。京都府南部にリニア新幹線を誘致することで、歴史のある日本遺産を多くの方に発信することができます。

これまでの経緯

昭和48年11月
「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を決める基本計画」の決定
(起点:東京都 終点:大阪市 主要な経過地:甲府市附近、名古屋市附近、奈良市附近)
時速250kmの新幹線を前提とした、東海道新幹線の老朽化や事故に備えた代替ルート
昭和62年6月
第四次全国総合開発計画において、基本計画路線の中で唯一「リニアモーターカー方式」とされる。
平成元年12年
平成2年政府予算案で、上記ルートの先行区間としてリニア山梨実験線を承認
東海道新幹線の「代替ルート」から、リニアによる「新たな国土軸」に変更
→ リニアによる整備を前提とするならば、ルートの再検証が必要
平成2年11月
リニア山梨実験線の工事着手
平成9年4月
リニア山梨実験線での走行試験が開始
平成19年12月
JR東海が、全額自己資金で建設する旨を発表
平成22年2月
決定から38年が経過した「基本計画」を前提とし、国土交通大臣が交通政策審議会に「整備計画」について審議を諮問
平成22年4月
JR東海が、名古屋市までを令和9年(2027年)に、大阪市までを令和27年(2045年)に開業すると発表
平成23年5月
昭和48年の「基本計画」を踏襲する形で国が「整備計画」を決定(主要な経過地:奈良市附近のまま)
平成23年11月
JR東海が、中間駅を負担することを発表
平成26年6月
「経済財政運営と改革の基本方針2014」(いわゆる「骨太の方針」)に、リニア中央新幹線に係る早期整備の記述が掲載
平成26年12月
JR東海が、品川・名古屋間のリニア建設工事に着手(令和9年(2027年)開業予定)
平成27年6月
「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる「骨太の方針」)に、リニア中央新幹線に係る早期整備の記述が掲載
平成28年6月
「経済財政運営と改革の基本方針2016」(いわゆる「骨太の方針」)に、リニア中央新幹線の整備促進のため、財政投融資の活用等を検討する旨が明記
平成28年8月
「未来への投資を実現する経済対策」に、財政投融資を活用した、「リニア中央新幹線全線開業の最大8年間前倒し」と「整備新幹線の建設の加速化」が盛り込まれる。

よくある質問

中央新幹線って最初はどんな計画だったの?

中央新幹線は、昭和48年11月に、東京都を起点、大阪市を終点、奈良市附近等を経過地とする計画が決定されました。当時は、リニアの技術ではなく時速250kmの新幹線を前提としたもので、東海道新幹線の老朽化等に備えた代替ルート(第二東海道新幹線)を想定したものでした。京都には既に東海道新幹線が通っていましたので、奈良市附近を通るルートとなりました。

今のルートのままじゃだめなの?

奈良市附近を通る現在のルートは、昭和48年に決められたもので、当時は、リニアの技術を前提としたものではありませんでした。その後、平成に入り、技術の進歩を受け、時速250kmから時速500kmへと速度が大幅にアップするリニア技術を導入することになりました。従来型の新幹線とは所要時間や需要、経済効果等も変わりますので、リニアの技術を導入することを決めた時点で、改めて様々な調査を行い、どのルートがよいか検証するべき(※)なのですが、一度も行われておりません。
(※)新幹線整備の根拠法である、全国新幹線鉄道整備法や同法施行令には、需要や所要時間が短縮されることによる経済効果を検証したうえで、ルートを決定しなければならないとされており、本協議会では、国に対して、リニアの技術の導入を前提としてルート検証を求めています。

東海道新幹線「のぞみ」があるから、リニアは京都にこなくてもよいのでは?「後出しじゃんけん」って聞くこともあるけど…。

空港を持たない京都にとって、広域交通インフラは新幹線に大きく依存しています。リニア中央新幹線が全線開業すると、東海道新幹線「のぞみ」の運行本数は、大幅に減少し、「こだま」、「ひかり」が中心のダイヤになるとされています。リニア中央新幹線が京都を通らないとなれば、「リニアは通らず、のぞみも減る」ことになり、京都の産業や観光への影響が大きいと考えています。
そのため、リニア京都誘致に向けて、「平成2年度政府予算案」で、リニア山梨実験線の整備予算が計上されたことを受けて、すぐにオール京都で「京都府リニア中央新幹線推進協議会」を立ち上げ(平成2年1月)、以降、毎年、国に対して、京都ルートの実現などの要望を行っています。この間、四半世紀に及ぶ誘致活動を展開しており、決して「後だしじゃんけん」ではありません。

東海道新幹線も、最初は京都を通らない計画だったの?

そうです。東海道新幹線も着工当時は、京都駅に停車する計画ではありませんでした。当時の京都全体が大きく動き、京都駅に停車することになり、その後、「ひかり」も停まることになりました。
2,600万人の方が乗り降りされ、生活や観光面で定着していますが、京都に新幹線が停まっていなかったら、京都はどのような姿になっていたでしょうか。現在の京都の発展があるのは、先人の方々が、京都に新幹線が必要であると訴え続け、それを実現させたからです。リニア中央新幹線についても、京都、近畿、日本の将来を見据え、今こそ、取り組む必要があると考えています。

騒音や振動は大丈夫なの?

リニア中央新幹線は、国の交通政策審議会鉄道部会中央新幹線小委員会(以下、「小委員会」という。)で、審議が重ねられ、平成23年5月に、整備計画について答申がまとめられています。環境への影響についても、小委員会で検討がなされ、騒音や振動についても、答申において、「(従来の)新幹線方式の環境基準と同等の範囲内に収まる見込みとなっている」とされています。
なお,環境への影響については、工事認可に先立ち、環境保全について十分な配慮は必要であるとの認識の下、国土交通大臣がJR東海に対し、発生土や水環境等について具体的な措置を講じるよう求められています。(参考)答申及び国土交通大臣の意見書については、国土交通省のホームページで御覧いただけます。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_sinkansen01.html
https://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo09_hh_000046.html

電力消費や磁力も心配…。

リニアの消費電力については、同じ速度域である航空機と比較して、2分の1と優れた環境性能で、電力会社の供給力に比べても十分に小さいとされています(小委員会(第20回)において試算されています)。
また、磁力については、答申の中で、「磁界の影響を国際的なガイドラインを下回る水準に抑制することが可能」とされています。(参考)小委員会資料や答申については、国土交通省のホームページで御覧いただけます。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_sinkansen01.html

ページトップへ戻る